言葉とは、同じ内容を話していても構成によってガラリと印象が変わります。

ビジネスの電話応対は、とにかく相手に良い印象をもってもらうことが大切。

ですが、場合によっては、伝える用件の内容に「メリット」と「デメリット」の両方が含まれていることがありますよね。

そのような時にポイントとなるのが「メリット」と「デメリット」の伝え方です。

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デメリットも素直に言う必要がある

あなたの自宅にセールス電話がかかってきたとします。

もしも、相手が、あなたに商品を購入してもらいたいため、メリットばかり話してきたらどう思いますか?

 

シニア1(こまる)

本当にそんな都合の良いことばかりの商品があるのかしら

 

と、よけいに警戒しちゃいますよね?

人間というのは、メリットばかり言われると逆に不安になるもの。

それに対して、素直にデメリットも話されると、逆に信頼が生まれます。

芥川龍之介のプロポーズに学ぶ

デメリットとメリットの上手な伝え方。

あの芥川龍之介が恋人に送った手紙を例に考えてみましょう。

僕のやっている商売は、今の日本で一番金にならない商売です。そのうえ僕自身もろくに金はありません。
ですから生活の程度からいえば、何時までたっても知れたものです。
それから僕は、体も頭もあまり上等に出来上がっていません。(あたまの方は それでも まだ少しは自信があります)
うちには父、母、叔母と、年寄りが三人います。
それでよければ来て下さい。僕には 文ちゃん自身の口から、かざり気のない返事を聞きたいと思っています。
繰返して書きますが、理由は一つしかありません。僕は文ちゃんが好きです。それでよければ来て下さい。

引用元: 芥川龍之介(恋人文子さんへの手紙より)

心にグッとこないでしょうか?

さすが文豪のプロポーズといった感じですよね。

ここで使われているのが、デメリットは先に、メリットは後に話す、マイナスからプラス法です。

相手の印象をグッと良くする「マイナスからプラス法」

芥川龍之介の手紙を読むと、まず自分と結婚する上で恋人の文子さんにデメリットになる部分を素直に伝えています。

本当はかなり触れたくない部分のはずですよね。

でも彼はそれをまず先に、素直に打ち明けていきます。

すると、その素直さに、たとえデメリットであっても逆に心に響きます。

そして、最後に一番伝えたいこと。つまり文子さんにとって最大のメリット。

僕は文ちゃんが好きです。

このメリットが最大限に心に響きわたることになるのです。

このように、マイナス面から先に話し、最後にプラス面を話すことで、相手への印象をグッと良くすることができるのです。

では、この方法をビジネスの電話応対にあてはまてみましょう。

 

※メリットを先に話してしまった場合・・

女(発言)

今度の保険は以前のものより、対象内の病気が増えましたので備えとしては完璧です。ですが、月々のお支払いが多少高くなってしまいます。

 

※デメリットを先に話した場合・・

女(ふつう)

今度の保険は以前のものより、月々のお支払いが多少高くなってしまいます。ですが、対象内の病気が増えましたので、備えとしては完璧です。

 

どうでしょうか?

伝えている内容はどちらも全く同じなのに、メリットとデメリットの順番だけで、こんなにも受けとれる印象が変わってくるのです。

さらに応用をさせて活用する

この「マイナスからプラス法」をもっと電話応対で活用させてみましょう。

芥川龍之介のラブレターのように、「一番相手に伝えたいこと」は最後に伝えます。

ビジネスの電話用件には、「重要なこと」と、「あまり重要ではないが伝えておきたいこと」などが混合しますよね。

そのような用件を一度の電話で伝えようとするときは、「あまり重要ではないが伝えておきたいこと」を先にはなします。
そして、「重要なこと」は最後の結論にもっていくようにしましょう。

そうすることによって、自分が一番伝えたいことを相手の頭の中に、植えつけることができます。

このように、会話というのは、たった少しの工夫で、相手への印象をグッと良くできるものです。

ぜひ、ビジネスの電話応対でも活用してみてください。